『目黒さんは初めてじゃない』が面白い

クラスで存在感がない主人公の古賀くんと、美人で有名な目黒さんが付き合うところから始まる「目黒さんは初めてじゃない」。全体的な印象は、恋人との距離感や行き違いなど、すごくリアルな恋愛の雰囲気を感じることができる漫画だと思います。

この記事では、読むかどうか迷ってる人、もしくは読んだけど面白さを言語化して理解したい人のために、私なりの理解と面白さのポイントをまとめてみました。発売されている7巻までの内容をもとに(2022年6月現在)、この漫画の面白さを紹介したいと思います。

あらすじ

主人公は、クラスで存在感がない高校生の古賀くん。彼女ができたことがない童貞の彼は、年下で学校のマドンナ的存在である目黒さんに告白して、奇跡的にOKしてもらう。しかし、目黒さんは「私、処女じゃないですよ」と衝撃のひと言を放って物語が始まります。

この説明を読むと敬遠したくなる気もしますが、実はピュアなストーリーなんです。
登場人物の心の動きや二人の関係性などの描写が細かく、奥手な友達の恋ばなを聞いているような気持ちになるほどリアリティがあります。

「初めて」の古賀くんと「初めてじゃない」目黒さんが対照的な存在として描かれていますが、目黒さんもいろんな「初めて」を経験していく優しい物語です

物語の基本的な部分は、登場人物たちの心が互いに良い影響を与え合って、みんなが成長していくところにあると思います。

ヒロインの目黒さん

目黒さんは本作品のメインヒロインですが、どこか大人びていて冷静なキャラクターです。どこかぼんやりとした目をしていますが、時折見せる優しい表情に、読者はだんだん引き込まれていくのだと思います。

また、このあと紹介する特徴のおかげか、筆者にとってはすごく親しみを感じるキャラクターです。

感情が顔に出にくい

古賀くんが目黒さんに対して「笑ったのかな?」と思うシーンがあるのですが、それくらい笑う場面が少ないです。表情の変化がそこまで大きくないのですが、微妙なニュアンスが伝わる良い表情もあって、そこに目黒さんの魅力を感じます。どういった時に笑うのかは、ぜひ漫画を読んで確かめていただきたいです。

「自分」があまりない、感情に気付きにくい

物事に偏見がなく、なんでも受け入れられる性格ですが、裏を返せば自分の意見をはっきりと言えないような印象も受けます。表現できないよりは、自分の感情に気付きにくいタイプとも言えるかもしれません。

筆者が目黒さんに親しみを感じる理由は、以上のような特徴の人が身の回りにいたからです。優しそうな雰囲気なのに掴みどころがなく、芯があるのにどこか受け身な人間関係。この漫画のストーリーがリアルな恋愛に近く感じられるのは、こうした現実味のある登場人物の特徴にあるのかもしれません。(非モテの陰キャがこんなかわいい彼女をゲットできるはずがないというツッコミはあるとして)

主人公の古賀くん

陰キャで目立たない古賀くんですが、要所でとても良い言葉を投げかけ、それが作品全体の安定感につながっている気がします。

陰キャなのに前向き

目黒さんを含め、いろんな人のピンチや悩みが困難となって古賀くんに降りかかります。しかし、古賀くんは意外なほど深みのある言葉でモヤモヤを解消していきます。

古賀くんの前向きさや優しさの影響を受けて、目黒さんも少しずつ変わっていきます。この辺りについては、この後の見どころで書いています。

『目黒さんは初めてじゃない』の見どころ

心に刺さるセリフ

一番の見どころは、登場人物のセリフだと思います。

受験勉強が始まり、学年が違う二人はこれから会える日が少なくなります。その時に1学年下の目黒さんが言ったセリフがすごく刺さりました。

「古賀さんにとって大事なことは、私にとっても大事ですから」

「一緒にいられる時間はとても嬉しいです。けれどそれ以外の古賀さんの時間も必要なものだと思います」

一緒にいる時間は楽しいし、相手のプライベートな時間も大切。当たり前だけど忘れがちな、大切なことを教えてくれます。

他にも、目黒さんと連絡したくなった古賀くんは電話をかけます。しかし、いざ電話で話し始めると 言葉に詰まり、咄嗟に「声が聴きたくなって」と伝えます。

このセリフの直前には伏線があって、彼を後押しする友達の存在があったりします。

二人の成長

この漫画は、恋愛が初めての古賀くんが成長するのはもちろん、恋愛経験豊富な目黒さんも成長していきます。

目黒さんは、自分の気持ちに鈍感で、言いたいことをうまく表現できません。古賀くんと付き合い始めてからは、彼の前向きな姿勢や素直な表現に影響を受けて、自分の気持ちに気づけるようになっていきます。これは目黒さんにとっても初めてのことです。

また、古賀くんも人前で活動したりするなど苦手なことに取り組めるようになっていきます。元々優しい二人が、お互いに影響しあってより優しさを知っていく、そういう物語なのかなと思っています。

やわらかい絵柄

ストーリーもほっこりするような読みやすい内容なのですが、絵のタッチもやわらかくて世界観に引き込まれます。この辺りは好みの問題になりますが、全体的にふんわりとしていてかわいらしいです。

まとめ

ストーリーの始まりからは想像できないほど、じっくり読んで満たされるような癒し系の漫画だと思います。

現在7巻まで発売されていて、どんどん面白くなっているので、この記事を読んで興味を持った方には読んでいただきたいです。

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