初めてL`Arc~en~Ciel(ラルクアンシエル)を聴く人へ

 L’Arc〜en〜Cielというバンドがどんなものか、自分の10代を振り返りつつ、まだ聴いたことがない人にも魅力を伝えたいと思う。

 まず、ルックスの良さ、立ち姿の良さに目を惹かれると思う。次に、他には真似できない独特なボーカルと曲の響、詩の世界観が耳を通して感じられるかもしれない。直感的に好き嫌いが別れ、好きな人はとことんハマるというやつだ。

 90年代の洋楽がいまひとつハマらなかった人にとっては、日本人の耳にも馴染みやすい構成で聴きやすく感じるはずだ。

 当時10代だった僕は、彼らの曲を聴いて体の芯が熱くなるような気がした。既にアルバムを何枚もリリースしていたので、次々と新しい曲を聴けたのもよかったのかもしれない。ひとつ飽きるまで聴けばまた次といった風に聴きあさった。

彼らの魅力とは何か

 一番は、キャッチーなメロディーとバンドの世界観なのではないか。CMで流れていた「MY HEART DRAWS A DREAM」を聴いた時、流れるようなメロディー、他のバンドにない、夢を見ているような感覚に驚いた。当時の日本ではラップ調、ヒップホップ調の曲が流行っていたので、そのギャップに心を惹かれるものがあったのだと思う。

 詩の世界観は、センスを感じる言葉選びに、物語を読んでいるような印象を受ける。90年代後半の退廃的な雰囲気を出しつつ、反戦のメッセージや、「世界」と「私たち」というスケールの大きい詩も魅力の一つ。ラルクの曲に「世界」というフレーズが何度も登場するのは、ファンの間では有名な話。そのほか、90年代の曲には若さを感じる恋愛の曲もある。

飽きさせない曲のバリエーション

 各メンバーが作曲するため、曲調に偏りがないのが飽きない理由の一つ。

 hyde曲と言えば「HONEY」が代表曲で、バンドで一番売れたのもこの曲だ。一般的な解釈では、死が近い入院中の男性の目線で歌われていると言われていて、僕もそう思う。死への諦めとか、この世界の不確かさをここまで美しく表現できるのは、このバンドしかいないと断言する。

 

 僕はKen(ギター)の曲が好きで、「虹」や「花葬」といった幻想的な曲が多い。彼のギターは独特で、真似しづらく、美しい響が印象だ。

 

 tetsuyaはもっともキャッチーでポップな曲を得意としている。「Driver`s high」や「STAY AWAY」が有名だけど、ライブの定番でもある「READY STEADY GO」はどのアーティストにも真似できない 疾走感がある。鋼の錬金術師(無印)のアニメOPだった曲で、ラルクにハマる前から好きな曲だ。

 Driver`s highは、飛行機で敵艦隊に突撃した特攻隊を描いているのではないかと言われている。「悲鳴を混じらせ暴走する鼓動」「目の前にはミサイルの雨」「最高のフィナーレを」「来世でまた会おう」など、明るい曲調でも詩に繊細な表現を残すのがラルクだ。

 ドラムのyukihiro曲は、trickのような怪しげな曲や、New Worldのようなパワフルなものまで様々。New Worldはhydeとの共作とのこと。

オススメのアルバム! 聴く優先順位

 あくまで初めて聴く人にオススメしたい順位で並べみる。

  • 1位 TWENITY シリーズ(ベスト盤 特に1997-1999)
  • 2位 True (the Fourth Avenue Caféは必聴)
  • 3位 ray、ark(ベスト盤を聴いていれば飛ばしてOK)
  • 4位 AWAKE(叙情詩はバラードの名曲)
  • 5位 REAL

もしベスト盤を聴かないというのであれば、間違いなくTrue(1996)、HEART(1997)から聴くのがオススメ。その後は一度新しいアルバムを聴いて、あとはお好きな順でどうぞ。

 オススメの曲は絞りきれないので、シングルになってる曲は全て良いと思ってもらって問題ない。そのうち好きな曲の記事を書きたい。

アルバムのジャンル分け 〜時期によって方向性が変わる〜

 ラルクの作風によってアルバムを分けるとこうなる。

<初期> 「Dune」「Tierra」「heavenly」

 曲に独特の暗さがありクセが強い。でも、味わい深い曲が散りばめられている。最初に聴くのはあまりおすすめできない、玄人向けのアルバム。

<全盛期 前期>「True」「HEART」

 純度の高いラルクソング豊作の時期。ラルクを語る上では外せない2枚で、初期の怪しげな雰囲気が良い方向に磨かれて独特のにおいを放っている。ドラムがSakuraからyukihiroに交代しているのも大きな転換点となっている。HEARTは一曲も飛ばせない、超名盤。

<全盛期 後期>「ray」「ark」「REAL」

 ファン以外の人でも知っている曲が収録されているrayとark。全盛期前期と比べると派手でパンチのある曲が多めで、時代の騒々しい雰囲気が感じられる。死をイメージさせる曲があり、この頃のhydeのテーマだったのかもしれない。「REAL」はメンバーの不仲が噂された時期に製作されていて、それが影響しているのかしていないのか、投げやり感が魅力的なアルバム。

<成熟期>「SMILE」「AWAKE」「KISS」

 落ち着きのある曲調や、明るい前向きな曲調が増える時期。Promised landなど、以前から反戦をテーマにした曲はあったものの、この頃特に反戦歌が増えている。AWAKEはアルバムのテーマが反戦で、ライブツアーも反戦をイメージしたものとなっている。

<昨今の作品>「BUTTERFLY」

 昨今と言いつつ2012年のアルバム。雰囲気は前3作と近いものの、作品の趣はやや違っており、もうアルバムは出さないのかと思っていたら名盤が出たという印象。

演奏者としての評価 楽器の上手い下手

 スタジアムで演ってしまう彼らを批判する人は今でこそ少ないが、00年代はいわゆるアンチによって演奏の良し悪しがよく語られたもので、みんな言いたい放題だった。言われるほど演奏が不器用なわけではないけど、曲に超絶テクを入れ込まないので「もっと上手い演奏者を知っている」と言われがち。でも、全体的によくまとまっていて、yukihiroのドラムとtetsuyaのベースは狂いが少なく、自ら演奏すると難しさを実感するだろう。ベースラインは”ベースをやらされている”感が全くない、思わず弾きたくなるフレーズが詰まっている。

 Kenのギターに関しては、痒いところに手が届くフレーズ満載で気持ちがいい。音の繋がりや他の楽器とのバランスも良く、練習だけでは取り入れ難いものを持っていると感じる。そしてギタリストあるあるだけど、歳をとるごとに上手くなっている。

最後に

 10代で出会い、かっこいいのに懐かしい、それでいて古くならない音楽性に影響を受けた。でも、ブームが落ち着いた頃にハマった僕は、ラルクを語る仲間も少なく、自分の音楽の趣味は偏っているのだろうかと思う時期もあった。今思えば、好きなものは好きで良いし、何も恥ずかしがる必要はない。音楽の趣味が移りつつある今でも、一番深く語れるバンドはラルクだと思う。最近知った人にも、ラルクの音楽を楽しんでもらえたら嬉しい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました