5年前、過敏性腸症候群(IBS)になった。きっかけは就活や勉強のストレスだった。過敏性腸症候群は日本人にとってポピュラーな病気だと、受診した病院の先生は言った。発症から改善に至るまでの体験談を、同じ症状で悩む人の参考になればいいと思って書いたので、同じように悩んでいる人に読んでもらえたらと。
発症から受診まで
資格試験のストレスから発症
1年後の資格試験に向けて、勉強する毎日。この試験は自分の進路に直結するため、必ずパスしなければならない。とにかく、将来が決まってしまうという緊張感が自分を押しつぶしていた。
10月頃、勉強の進捗が悪いことに焦り始めて、この頃からお腹の不調を感じ始める。日中に急激に腹痛が来る日がたまにある、その日は常にお腹の違和感があるという程度だった。この頃から、家を出る前の腹痛も始まった。
家を出る前に便意が来ると、外出先でもトイレに行きたくなるのではないかと不安になり何度もトイレに行くようになる。早く支度をしてもなかなか家から出られない日があった。日によって症状が違うのもこの病気の特徴だと感じた。
症状が悪化 〜1日に10回トイレに行く〜
症状は日に日に悪化して、朝から家を出る前に何度もトイレに行かなければ行けなくなった。どういう状態かというと、常にお尻の奥に腹痛や便意の原因物質が入っているような感じ。便意が無限にやって来るというちょっとした地獄。ようやく家を出て図書館で勉強をしていると、またお腹がムズムズし始める。この状態が1日中続く。もはや勉強しにきているのか、図書館にトイレをしに来ているのか分からない日が数日続いた…。(これが本当に辛かった)
便の状態は軟便がほとんどで、色は茶色。(真っ黒ということは少なかった) 便意はあっても、便座に座るとほとんど出ないことがあった。今考えると、信じられないくらい常に便意があって、外出先でもよくトイレに入った。また、柔らかい便が続いたと思ったら、急に硬い便に変わったりする。
これはあるあるだけど、トイレに行く回数が増えると、以前どのくらいのペースでトイレに行っていたのか分からなくなるし、症状が悪化していることに気付きにくかったりする。気付いた時にはかなりトイレの回数が増えている。むちゃくちゃお尻が痛い。
過敏性腸症候群とおなら
もう1つ困ったのはガスが溜まること。お腹が張ってきたら慌てて席を外していた。自分の意志とは関係なくガスが出るわ出るわ。どこからそんなに湧いて来るの…笑
そして最悪なことに、それがめちゃくちゃくさいことがある!!最初は気のせいかと思っていたけど、どうやら本当にくさいらしい。この症状に悩む人、わかります。悩まず病院に行きましょう。
内科を受診してみた
さすがにおかしいと思い、近所の内科を受診したところ問診でIBSと診断を受けた。受診して良かった点は、腹痛について他人に理解してもらえたこと、そして治療薬を処方してもらえたことだ。治療薬があるの?と思った人もいるかもしれないが、割と効果があるので試してみる価値は有り。ただし、僕の場合はストレスや環境に変化がなく再発したので、根本的に治療するには薬だけでは不十分かもしれない。
それでも、病院を受診することをおすすめする。自分一人で抱え込むと正解が分からなくなり、ネットに掲載されている出所不明の情報に踊らされることだってある。多少お金を払ってでも、専門家の意見を聞くことは大いに意味がある。もちろん、お医者さんも沢山いる中のいち専門家であるのだけど。(僕が受診したのは内科だけど、消化器専門のところや心療内科も受診先として検討に入れて良いとのこと)
その後、目標の試験が終了してIBSは徐々に落ち着いていった。緊張するとお腹が痛くなっていたが、以前に比べるとかなりマシな状態だった。
発症した原因
ストレスと環境の変化。これが僕が過敏性腸症候群になった原因だと考えている。この病気に苦しめられている人は、何らかの不安を感じていることが多く、そのことによる腸が知覚過敏のような状態になっていると言われている。(出典https://ci.nii.ac.jp/naid/10008043213/)
僕にかかったストレスは、膨大な量の勉強とその進みの悪さによるプレッシャーだった。特に、思うように勉強が進んでいないと感じた頃から症状が強く出始めた。ここで冷静になっていたらもう少し違ったかもしれないが、忙しい生活の中で全く冷静にはなれなかった。また、勉強を始めるまではストレスフリーな生活をしていたので、そこからの落差もあったと思う。体がストレスに慣れていなかった。人間、ある程度のストレスに触れていなければどんどん体が弱くなってしまうのかもしれない。根拠はないけど。
環境の変化といえば、勉強が過酷になるにつれて友達と会う回数が半分以下になった。みんなはみんなで就活が本格化して、合同説明会やインターンにこぞって参加した。友達とご飯を食べる回数が激減すると、こんなにも一人暮らしが心細いものかと実感した。追い討ちをかけるように一緒に勉強していた友達がリタイアして、とうとうひとりぼっちになってしまった。(この時期以降、腹痛だけでなく心身の不調を感じるようになる。これについては別の機会に描)
過敏性腸症候群と自律神経
僕の場合、過敏性腸症候群になったタイミングで自律神経が乱れていた。どちらが先かは覚えてないけど、同じくらいの時期に自律神経症状が出ていた。
具体的には以下の症状があった。
- ・昼間の強い眠気(異様な眠気)
- ・夜中に目が覚める
- ・口の中が乾く
- ・手が震える
IBSと自律神経の関係については、病院では特に触れられなかったので分からない。ただ、どちらもストレスや生活習慣の乱れが影響しているのは間違いないので、同じように悩んでいる人は多いかもしれない。
IBS改善に向けて 治すにはどうすればいいのか
社会人になって再発
のしかかるプレッシャー、真面目さ従順さを求められる職場に配属され、またお腹の調子が悪くなった。ただ、学生の頃のような回数でトイレに行くことはなく、状態が悪い日にトイレにこもることがあった程度。あんなにトイレに入ったらお尻が持たないと思い出しただけで身震い。
しかし、仕事中に何度もトイレに行くとさすがに仕事が進まない。デスク、プリンター、トイレを往復する。誰かオムツを履かせておくれ。
社会人になっても困ったのは、朝の出発時間だ。何度もトイレに行きたくなるとどうしても出発が遅くなる。早く仕事に行かなければ…と思えば思うほどなんだかトイレに行きたい気がする。この病気、相当しぶといらしく、社会人2年目の途中まで猛威をふるった。
食生活を改善
腸を整えるなら食生活が一番重要だろうと考えて、やや乱れていた食生活を見直すことにした。しかし、仕事で残業続きな僕は夜遅くに食事を取るため、根本的な解決は難しく、食事の量を調節することにした。週末にビールを飲むという絶対的な幸せ…についても少し我慢することにした。僕はアルコールを取りすぎるとお腹を壊す傾向があるので、割と効果があった。
※結婚して、よりヘルシーな食事になってからは大幅に改善したので、やはり食事はかなり重要だと思っています。
結論は、アルコールは控えた方が回復が早く、食事は脂っこいものを抑えて食事量をやや減らすと好感触。食生活は人それぞれだが、何かを積極的に取り入れるというよりは、胃腸への負担を減らす方がいいかもしれない。
整腸剤を飲んでみた
生活習慣を見直すだけではなく、薬の手助けがあるといいだろうと考えて整腸剤を服用してみた。病院で処方されることもあるビオフェルミンを試してみた。
正直、症状がキツイ時にはあまり効果が感じられなかった。これだけで回復というわけにはいかないらしい。ただし、全く効果がないというわけでもなく、2回目に試した時には10日目頃から便の硬さや便通の回数が変化した。腸内環境を整えるには、食事・睡眠・運動が基本で、整腸剤はあくまでも手助けをしてくれるようだ。なお、急性胃腸炎を患った時はかなり即効性を感じる。
ちなみにヨーグルトを試したこともあるが、こちらは継続しないと効果が感じられないとの前評判。コストがかなりかかる上に、どのヨーグルトが自分に合うか分からないともどこかのサイトに書いてある。(どこかは思い出せない)合うヨーグルトに出会わなかったのか、ヨーグルトについてはあまり効果を実感できなかった。人によってはこちらが合うこともあるかもしれないけど、毎日食べるしんどさもあって僕は試すのをやめた。
ストレスへの対処法を学んだ
ストレスを感じやすいのは、そういう考え方が癖になっているからだ。
僕がストレスを感じやすい要因は以下のとおり。
- 真面目(深刻)に考えてしまう
- 相手の感情に振り回される
- 責任感が強い
物事はあまり真面目に考えなくて良いらしい。「こうするべきだ」と思っていることにすら気づかないのだけど、もし気付いた時は本当に「そうあるべきものか」と問い直したり人に相談するといい。このくらいのクオリティで完成させなければいけないというボーダーラインが人それぞれあるはずだが、ストレスを感じやすい人はこのボーダーが人より高かったりする。人間、間違えて当然だし締め切りは遅れても仕方がないくらいに考えておかないと、色んなところで壁にぶつかってしまいます。間違えたら割り切って謝りましょう。責任感が強いというのは、この真面目さが原因かもしれない。
2つ目の相手の感情に振り回されるというのは、僕がそうであるように、この記事を読んでいる人は相手の感情の影響を強く受ける人が多いかもしれない。そういう人は感情を受け取らないという選択肢を知っておくといい。相手が怒っていると、自分が悪いことをしていなくても何か気まずくなる。しかし、怒っている彼(彼女)にはそれなりの理由があり、あなたはあなたの感情で生きている。自分の人生を生きるというのは、自分の感情を優先していいということだ。ただし、怒っている、悲しんでいる相手にかける言葉にはそれなりの気遣いってものもあるけれどね。
ストレスが大きくなるのは、頭の中で「ストレスだ〜」と考えて増幅させているからだ。そんなはずはないと反論を食らいそうだが、ストレスだとか悲しいと心が感じたことを、考え方の部分で大きくも小さくもできる。ストレスを感じにくい人は考え方でうまく整理している。この項目は書き始めると長くなるので、詳細はいつか別記事で載せたい。
いつの間にか治った
そう、いつの間にか治っていた。朝の”トイレ癖”は相変わらず悪かったが、職場で頻繁にトイレに行くことは少なくなった。波に揉まれてストレスのかわし方を覚えたのは要因の1つだろう。食生活が大幅に変わってからは、朝のトイレ癖すらよくなってきている。素早く出勤できるので助かっているものの、他の人にとってはこの時間で支度できるのがスタンダードなのかもしれない…今までトイレにこもりすぎた。
僕の体験から導き出される、改善のために必要な行動はシンプルだ。
- ストレスをかわす考え方を身につける
- 食生活・生活習慣を改善する
- 一人で抱え込まず病院を受診する
ストレスをかわす考え方を身につけるのは容易ではない。すぐにできることではないけれど、本を読んで様々な経験を経て手に入るものだと思う。僕もまだ研究中。治すにはどうすればいいのかと悩んでしまうこともあるけど、生活全体を改善することが大切だ。
IBSと向き合うにあたって、時間はかなりかかると考えていた方がいいけれど、ストレスから距離を置いて食生活を見直すことで改善するものなので絶望しないで欲しい。過敏性腸症候群に悩む人が記事を読んで、もっとシンプルに考えていいんだと感じてもらえたら幸いだ。
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