経済学部は文系学部でもっともポピュラーな学部の1つなのだが、実は他の学部に比べてどんな授業を受けているのか、どんな人が入学しているのか見えづらい学部でもあり、これから進学先を考える人にとっては知りたいことの1つだと思う。どんなことが学べて、進路のどんな可能性を広げることができるのか、入学前に知っておきたくてオープンキャンパス参加やパンフレットの取り寄せをするものだ。
また、経済学で扱うテーマが多岐に渡っており、各専門分野を学んだが経済学の本質はよく分からないという人も多く、卒業生の声を聞くと後輩や家族は不安に思うはず。僕自身、経済学部を卒業していながら経済学の全体像を理解しているとは到底思えないが、そういう学部なのかもしれない。
そこで、そして経済学部を志望している人に、もしくは経済学部に入学したが友達が少なくて実態がよく分かっていない人に向けて、オープンキャンパスでは聞けない学部の雰囲気や特徴(ごく一般的な話)をふんわり紹介したいと思う。本当にふんわりと。
学部内で専門分野が細かく分かれている
経営学部や商学部のように学部が分かれている場合は別として、そうでなければ経済学部内に様々な研究をする先生が在籍している。どんな学部でもそうだが、何を専門に研究するか決める必要があり、何年生から専攻が決まるといった仕組みは学校によって違うので、パンフレット・HP・説明会でよく確認するのが確実。
経済学部で扱う大まかなテーマ分類は以下の通り。
- ミクロ経済学(ゲーム理論含む)、マクロ経済学(経済政策など)
- 財政学(経済政策と一緒に扱う人が多い)
- 金融、保険、証券
- 労働経済学
- 国際関係
- 地域経済系
- 統計学、計量経済学
- 経済思想
- 会計学
- 経営学(経営戦略、マーケティング等多岐にわたる)
- 言語系、経済史系
- 法律系(民法、商法、憲法)
上の分類を見て分かるように取り扱う分野が広く、これがこの学部のメリットでもある。講義をいくつか受けている間に、興味を惹かれる分野を発見して専門的に学ぶことができるというわけである。入学した際には、シラバス(講義の説明書)を読んで、思い切って様々な講義を選択することをおすすめしたい。
デメリットは、先に挙げた分野の広さや自由度によって、やや専門性が落ちるという点である。他の学部はカリキュラムの中にプロフェッショナルになるまでの課程が組まれているのに対して、経済学部は道筋がややぼんやりとしている。個人の努力次第ではもちろん経済学や経営戦略のプロを目指せるのだが、個人の努力に委ねられている部分が大きい。(この点は学校によって差がある)大学院からは研究本番といったところだ。
ゼミを選ぶ
ほとんどの大学はゼミ制度(教員の研究室に割り当てられる)だと思われるが、このゼミ選びを失敗すると痛い目に遭う。適当に志望を書くといった愚かな行為は謹んで控えていただきたい。
僕が入ったゼミは、ちょっとした間違いを激しく叱責する教員が担当だったので、そのあまりの厳しさにみんな固まってしまっていた。いるのである、賢いあまり間違いを許せない類の人が。僕があまり怒られなかったのは、絶対に怒られまいとかなり予習の完成度を高めていたからだろう。あと、カツラを見抜くくらいには先生を見ていた。
しかし、この厳しいゼミが僕に本の読み方を教えてくれたのは事実で、物事の考え方を知る重要な時間だったと今は感じている。厳しいゼミに飛び込むのは自己責任でお願いしたい。
他の学部に比べて勉強量が少ない?
この指摘はもっともで、大学のレベルにもよるが、理学部・工学部系の人に比べると勉強量が少ない感覚はある。もちろん、いわゆる理系の皆さんだって常に「勉強」しているわけではないが、相対的に経済学部の学生は勉強していない人が多いように見える。試験前だけ必死に勉強すれば単位が取れる授業があるのも確かで、試験前以外はただ授業を聞くだけという人もいる。理系の人は実験や課題で普段の授業からある程度負荷がかかっているのかもしれない。
数学を使うけど…
意外に思う人もいるかもしれないが、この学部は数学を使うので、経済数学の問題を解くにはそれなりに勉強時間を要する。しかし、数学と聞いただけで僕の周りの人は毛嫌いしていて、経済数学を受講する学生は少なめである。(出来が普通の大学だから…)
ウェイな人がいる
いる。講義室の後ろの方でかなり幅を利かせているので注意したい。他の学部に比べてウェイな人は多い印象だ。でも安心してほしい、目立たない普通の人が大多数なのだ。
ウェイな人たちは無害だが、卒業するために毎回講義に出席するので、講義室が賑やかになる。そっとしておいてあげよう。
やけに人気な講義と全く人気のない講義がある
簡単に単位が取れそうな講義とそうでない講義というわけだ。僕が受けたダントツつまらなかった講義は大講堂で行われていた。簡単に単位を獲得できるので、噂が噂を呼んでみんなが受講するのだ。講義中、みんな下を見てスマホをいじっており、さすがに先生もご立腹であったがそもそも講義に面白みがなかったのでどうしようもない。
最近ではLINEが普及したこともあり、情報共有のスピードが半端じゃない。面白い講義とそうでない講義はグループからどんどん情報が流れて来るので参考にするといい。(その前に友達がいないという人、ごめん)
個人的に当たりなのは、小さい講義室に人がぎっしり集まる講義だ。理由は分からないが、そういう講義は先生の話が面白い。不思議なものだ。
ゼミによって専攻選択後の大学生活が決まる
ゼミ選びは重要で、僕のようにパワハラ気味な先生にあたるとこともある。研究したいことがないからと適当に選ぶべきではない。研究に勤しむ先生方が直接色んな話をしてくれるので、ゼミ選びはその後の大学生活だけではなく人生も左右すると考えてもらって間違いではない。
ゼミでの課題や卒業論文は、大学生活後半の大部分を占めている。就活や卒業シーズンに鬼畜な課題やフィールドワーク(現地を歩いて研究する)を課す教員もいるので、そのあたりの情報収集は必要かもしれない。
就職活動のサポートも、教員によって様々。情報を仕入れて共有してくれる人、就活に関心がない人、研究の道もあると教えてくれる人、本当に多様だ。この辺りも念頭に入れて選ぶのがいい。
この学部で生き残るのに必要なことを挙げるなら
間違いなく、友達を作ることだ。講義や試験勉強を乗り切るのに助け合える仲間がいるのは頼もしい、それはもちろんそうなのだが、横の繋がりが薄い学部なので孤独に陥り易いのである。例えば、工学部なら同じコースの仲間がほぼ同じ授業を4年間受けることになるが、経済学部は序盤以降は各々興味のある授業を受けることとなる。専攻が決まってからは多少は仲間ができるかもしれないが、他のメジャーな学部に比べると孤独の深い学部である。もちろん、一人で全く寂しくないという人はそれでいいのだけど、一人で大学生活を乗り切れるボッチの精鋭にはなかなか出会ったことがない。
僕の実感では、孤独に陥った知り合いは学校に来なくなったり退学している。友達とまでは言えないが、何かの拍子に会話した人たちがふと気づけばいなくなっており、不真面目だけが留年・退学の理由ではないと知った。
最初にできるだけ友達・知り合いを作ろう
その後4年間の学生生活を決めるのは、最初の交流会やサークルの新歓での友達作りだ。その後長い付き合いになるかどうかはともかく、たくさんの人と連絡先を交換することに意味があるので、学部の交流会やサークルの新歓にはできるだけ参加することを勧める。
仲間を増やせとは言わない。少なくとも授業に出れば誰か知り合いがいるという状況があれば、一緒の席に座り他愛もない会話をして、自分の社会性を保つことができるのだ。
大学生活は様々な人に出会うことができる、またとない機会
馴れ合いが好きじゃない人もいるかもしれないが、講義やサークルは一生付き合いのあるような出会いを後押ししてくれる貴重なプラットフォームだ。違う出身地、違う経歴の人が通う大学生活は、「気を許せる友達」と出会える数少ない機会だ。卒業しても連絡を取ったり、たまに遊ぶ友達がいる、これがどれだけありがたいことか社会に出て初めて気づくのである。会社の同期と大学の友達は同列ではない。
ここまで書いておいて、これから経済学部に入学する人のボッチをどれだけ心配しているのかと頭を抱えている…別に友達をたくさん作ることが大学生活の目的ではないのだけど、それくらい大事なことなんだ…
この記事を読んだ皆さんが活き活きとした大学生活を送って、素敵な出会いに恵まれることを祈っています。
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